こんにちは.株式会社アークエッジ・スペースのソフトウェアやシステム基盤を統括している鈴本 (@_meltingrabbit) です.
アークエッジ・スペースでは,2021年度末現在10人ほどの優秀なインターン生が一緒に働いています. 今回は,先日社内で実施しました,インターン生の成果報告 LT (Lightning Talks) 会の様子についてお伝えしたいと思います. アークエッジ・スペースのインターン生はこんなことをやっているのか,といったことが多少でも伝わると良いなと思っています.
LT会 開催経緯
昨年の夏に,アークエッジ・スペース初のインターン生となる じぶりんさん (@gpioblink) が入社してから今日に至るまで,インターン生はおよそ10人規模となりました. また,アークエッジ・スペースは,お客様のニーズに合わせた多様な人工衛星を開発し,運用する会社であり,業務内容はハードウェアからソフトウェア,理論的な研究から応用まで,幅広い分野に及びます.
そのような中,せっかくそれぞれの分野で尖ったスキルを持っているインターン生の方々がたくさん入社しているのにもかかわらず,それぞれが社内で散らばり,インターン生同士の交流も少なければ,そもそも何をしているのかわからない,という状況が続いていました. そこで,インターン生の皆さんがどのようなことをやっているのかの社内(インターン生同士だけでなく,一般の社員にも)共有する機会をつくるため,また,インターン生同士の交流を活性化するために,「インターン生 成果報告 LT会」を実施することになりました.
LT会 開催概要
今回の LT会は,日本橋にある宇宙開発拠点の交流スペースである X-NIHONBASHI TOWER をお借りしました.
そこで次のような LT をしていただきました.
- インターン生
- 5分の LT
- やってること,やったこと,これからやること,やりたいこと,など,業務関連
- 頑張ってること,苦労したこと,学びがあったこと,など,インターンを通じて感じたこと
- 2021年度末で退職されるインターン生
- 20~25分の発表と,5~10分の質疑応答
- インターンの成果発表と振り返り
- インターン生に混じって LT したい社員
- 5分の LT
- なんでも OK
そして最後に,軽い懇親会をして,終了しました.
オンラインでの配信も同時に行いました. このようなハイブリッドでの発表会は,オンサイトとオンラインで体験の差が大きいことがよくあるので,配信方法には気を使いました. 具体的には,まともなカメラできちんとした配信画質を担保し,発表者はスライドをスクリーンに投影するだけではなく,Zoom にも画面共有してもらいました.
このようにすることで,オンライン参加者も会場の様子と発表そのものの両方をある程度は体験できたのではないかと思っています. また,Zoom 録画と配信映像の2種類の録画が社内に残ったのも,良い点でした.
LT の内容
さて,アークエッジ・スペースのインターン生が十人十色で様々な業務に携わっていることを知ってもらうためにも,発表内容をそれぞれ簡潔にお伝えしようと思います.
鈴木さん(姿勢制御ユニットのスタートラッカ開発)
鈴木さんは姿勢制御ユニットのなかの,スタートラッカという,恒星を観測して人工衛星の姿勢を決定するためのセンサの開発を行っています. 小型化を意識した光学設計やシミュレータの話をしてくれました.
牛さん(GNSS受信機開発のためのシミュレータ開発)
牛さんは,SDR (Software Defined Radio) と言う,通信における信号処理をソフトウェアで定義できる技術をつかった GNSS (Global Navigation Satellite System) シミュレータの発表をしてくれました.
藤原さん(SILSでの自動テスト環境開発)
藤原さんは,SILS (Software-In-the-Loop-Simulation) と呼ばれる,人工衛星のシミュレータについての発表でした. SILS を用いた人工衛星の挙動の検証を自動化するために,シミュレータを改善してくれています.
近澤さん(月周辺での軌道解析)
近澤さんは,将来アークエッジ・スペースが月周辺に人工衛星を送る際に不可欠な,月近傍軌道についての解析を発表してくれました.
桂さん(地上局ソフトウェアや社内インフラ開発)
桂さんは,人工衛星の運用に不可欠な地上局のソフトウェアや,社内の様々なインフラ・ツールの開発について発表してくれました.
東さん(RISC-V in SPACE)
東さんは,RISC-V と呼ばれる Open Source Licensed な CPU 命令セットで,アークエッジ・スペースの衛星搭載コンピュータが作れないかの検証について発表してくれました.
id:sksat さん (社内ソフトウェア整備など)
sksatさんは,社内のソフトウェアの改良や,採用活動など,多岐にわたる貢献について話してくれました.
後藤さん(LoRa受信機の開発)
後藤さんは,LoRa と呼ばれる無線規格のための,自動追尾型地上局の開発について発表してくれました.
じぶりんさん(衛星搭載コンピュータの下駄基板開発)
じぶりんさんは,人工衛星搭載コンピュータを利用できるようにするためのインターフェース・ペリフェラル基板(通称下駄基板)の開発について発表してくれました.
じぶりんさんのインターンシップはこれで終了です.そのため,今回は十分な時間を確保して,じっくり発表いただきました.またその成果については 「インターンで衛星に搭載する基板の設計から試験までを経験させてもらった話」に詳しく書かれています.
鈴本と id:koba789 が社員として LT をしましたが,それは業務と関係ないので今回は割愛します.(鈴本の発表資料は個人のブログに上がってたりはしますが)
効果
この LT会では,このような情勢の中で久しぶりに社員やインターン生が顔を合わせたこと以外にも,様々な効果がありました.
LT会の開催動機にもなっていた,インターン生のやっていることが周りにも伝わること,インターン生同士の交流が促進されることはもちろん,社内の風通しがより良くなったように感じられます.
アークエッジ・スペースは,超小型人工衛星に関わるハードウェアからソフトウェア,論理的な研究から応用までなど様々な業務を行っています. 一方で,超小型人工衛星とは,宇宙という様々な制約がある中で,その小さな筐体にたくさんの機能をバランスよく詰め込まなくてはいけません.つまり,あっちを立てたらこっちが立たない(例:コンピュータに電力をたくさん投入したら,通信機の電力が足りなくなり通信速度が低下してしまう,など)という "トレード・オフ" がたくさんの場所で発生するようなものづくりです. そのような現場では,一つの部署のみでコミュニケーションが閉じていてはいい人工衛星は作れません.つまり,部署を超えた風通しの良さが,我々の作るプロダクトの品質に直結するのです.
他にも,今回は年度末ということで,新年度からアークエッジ・スペースに入社される内定者の皆さんにも参加していただくことができました. そういった方々にも,社内の業務領域や働き方などといった風土を感じてもらい,自らの業務イメージを想像していただくきっかけにもなったのではないかと考えています.
おわりに
このような様子で,アークエッジ・スペース初の LT会は無事に終了しました.
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